高齢者の尊厳を大切に

介護は人の生活を支える重要な仕事である。仕事に就いた時には、対象となる方のためになろうと懸命になっていても、時間がたってくるとどうしても効率を重視してしまうようになりやすい。そうすると本来大切にしたいと思っていたことがおろそかになってしまうことが多くなるのだ。
その筆頭として挙げられるのが高齢者の尊厳である。人それぞれ、どういった部分に思いを抱えているか、どのように生きたいと思っているかは変わってくる。その人の認知の状況によっても尊厳の形は変化するだろう。
できれば一人一人の思いに寄り添って介護を提供していきたいところだが、仕事の忙しさからそういった部分に気が回らなくなってしまい、結果的に尊厳を害してしまうという事も起こりうる。

高齢者の尊厳を無視すれば、高齢者自身が生きていくという事に希望を抱きにくくなってしまう。そうなると生活していく中でも前向きになれないという事につながってしまい、生きがいを失ってしまう事もある。
他人から見ると大したことが無いこだわりであっても、少しでも自分の力でやっていきたい、自分らしく生きたいという事を叶えていくことは前向きに生きていく大きな力となるのだ。
自分でやりたいということについては時間がかかっても効率的でなくても、自分自身で出来るように手助けをしていき、尊厳を守っていくことが必要になる。こうした意識を持って介護の仕事に向き合っていくことが重要だと言えるだろう。